いざという時の危機管理としてだけでなく、平常時の意思決定や実践行動の土壌となる初期対応の習慣を体得いただく観点から、リスクマネジメントや危機管理に限られず、リーダーシップ、労務管理、マーケティング等に幅広く応用できる初期対応について、最新の事例をもとに学んでいきます。
3月4日、ようやく、イージス艦「あたご」と衝突した漁船「清徳丸」の操舵室の一部が、海底で発見されたとの報道がなされた。意外にも各報道機関ともこれまでの報道に比較してニュースの扱いが大きくない。
NHKのニュース報道では、「衝突地点の南約500mの地点で発見」との内容であったと聞こえたが、公式な発表としては確認できない。新聞各紙のインターネット上の記事では発見地点を記述しているものは今のところ見つけられない。
さて、前回、衝突時刻についての疑問について記述したが、今回の操舵室の一部の発見地点は重要な意味を持っていると私は考えている。
海の中のことであるから、潮流により衝突地点から流され衝突地点と発見地点とのずれが生ずる可能性はある。一方、潮流の影響を除いて考察すれば、衝突後イージス艦「あたご」の進行方向へ力が加わり、さらには、一定程度引きずられ、あたごの進行方向に流されながら沈んでいくことはほぼ確実であると思われる。つまり、衝突地点よりもあたごの進行方向である北寄りの地点で清徳丸の操舵室部分が発見されるのが自然であると考えられる。
つまり、「衝突地点の南約500mの地点で発見」というのが私の聞き間違いでないとしたら、衝突時刻が4時7分よりも前であった疑念はかなり濃厚であるといえる。
この衝突時刻への疑問は単なる思いつきではなく、私の真相究明の手法を適用した場合に導かれる仮説の一つである。この手法については、ここには詳しく説明することは割愛するが、情報が不足または錯綜している状況においてとくに有効なものである。
さて、もし、衝突時刻が意図的に繰り下げられていたと仮定すると、あたごと清徳丸とが衝突した時点と、自動操舵の解除及び回避措置を行った時点とが逆転する可能性があることを前回述べた。さらに、清徳丸があたごの前方から接近してきたとの証言と、清徳丸が直前で進路を大きく変えたとの証言も、いずれも信憑性が疑われる。つまり、防衛省が最初に発表した内容のほとんどが、仕立て上げられた虚構のストーリーへの布石であるという仮説が成立しうることになる。
以上は、防衛省を批判することを意図したものではなく、あくまで科学的考察に基づく仮説の一つである。今後の捜査により、真相が解明されていくことを願っている。
ところで、海洋調査船「なつしま」による海底調査が、3月4日で打ち切ると発表されている。たしかに親族ら関係者の意向であることはわかる。しかし、最も重要な証拠の一部が発見された当日であり、さらに調査を進めればより多くのものが発見できる可能性が高い状況であるから、当然、再度関係者を説得し、より本格的な調査を行うべきではないだろうか。
真相究明に本気であるなら、このような千載一遇チャンスをみすみすやり過ごすことは、まったく忍びないことである。