2014年11月28日金曜日

初期対応の心得 第11回 選択肢の整理

  事故・トラブルなどの危機発生時に、やむなく対応行動を取捨選択をしなければならないことがあることについて前回述べました。しかし、目の前にあること、思いつくことの中で闇雲に選択をしても、おそらく上手くいくことは少ないでしょう。アップアップの状態では選択肢が雑然とし過ぎて、的確な選択は期待できません。

 危機発生時には、限られた時間で意思決定をする必要があります。現場では咄嗟の判断が命運を分けることも少なくありません。現場でも容易に行動選択ができるように、単純明快な手がかりが必要となります。

 私が鉄道事業等での危機対応で実践して確実な成果を得られたのが、「主体的対応」と「合理的対応」とに整理する方法です。次回以降にこれらについて順次解説していきます。


2014年11月27日木曜日

初期対応の心得 第10回 対応の取捨選択

 事故・トラブルなど危機発生時には、実行不可能な膨大な対応行動が必要となります。すべてをやろうとして、結局どれも中途半端にするよりは、優先順位によって取捨選択をすべきです。

 多数の死傷者が発生した事故現場では、優先順位づけとして「トリアージ」が行われることがあります。トリアージとは、医療行為の緊急度・深刻度合などによって、限られた医療資源を効果的に配分し、最大限に命を救う取り組みです。場合によっては、助かる見込みの低い重篤者の救助を諦めなければならないケースも生じます。

 危機対応で必要なことは医療面だけではありません。錯綜する状況の中で優先して行うべきことの集まりと流れの全体が「初期対応」なのです。

2014年11月26日水曜日

「初期対応の心得」シリーズを7年半ぶりに再開します。

 筆者が当サイトのタイトルでもある「初期対応の心得」シリーズ連載の 第9回を執筆したのは2007年4月でした。今回、このシリーズ連載も再開をしていこうと思っています。

 まず。前回の内容を整理して言い換えると、以下のようになります。

 事故やトラブルなどのいわゆる「危機」に直面したとき、何をすべきなのか咄嗟には判断できないことは珍しくありません。「頭が真っ白になった」というのもこの現象を表しています。

 企業では、万が一の緊急時に必要となる十分な人員を配置しません。したがって、危機発生時には人手が不足します。

 また、危機が発生したときに、それを放置すると事態が悪化することがほとんどです。したがって、危機発生時には時間も不足します。

 そして、人員と時間が不足するということは、できない仕事が生ずることになります。

 つまり、「何をやって、何を諦めるか」「どれを先にやるか」という判断が、危機対応の核心「初期対応の心得」の重要課題です。


2014年11月25日火曜日

大学生の自主学修時間が減っています(ただし日本限定)

 11月24日は勤労感謝の日の振替休日でした。私の勤務する大学では授業が行われました。ここ数年は祝日でも授業を行う大学が少なくありません。これは、文部科学省が半期で15回の授業を実施することを求めているからです。祝日も授業をしないと15回に届かないのです。

 また、文部科学省は、規定の出席率に達しない学生の単位を認めてはいけないとの指示も出しています。加えて、留年や退学が多い大学をマイナス評価する流れもあります。

 これらの施策が合わせ技となり、大学生の学修姿勢をすっかり変えました(大学での学びは「学修」という用語を使います)。学生も、大学も授業への出席が第一優先事項となっています。実際に授業の出席率は非常に高くなっています。

 私の大学生時代は、自分であまり勉強せずに授業だけ全出席していた学生は、尊敬されず単位も取れませんでした。しかし、現在は完全に逆転してしまっています。


2014年11月24日月曜日

日本に本当に必要な素養

 日本は外交が弱いというのは、日本国内で定説になっています。日本の弱点は政治家や外交官を始め、日本人が交渉下手だということなのでしょうか。

 英語が上手く話せないから国際間協議の場で意見を主張できないことを原因に指摘する向きもあります。しかし、他国の言葉を使えるようになっても、その国を超えることはできません。

 言語の問題に矮小化するのではなく、日本人が深い洞察力を養い、独自の価値観に誇りを持ち、優れた戦略を立てて怯まずに着実に前進させていくことが何より重要です。



2014年11月23日日曜日

22日夜に長野県北部で最大震度6弱の地震

 長野県北部を中心に最大震度6弱の地震が22日夜に発生しました。報道によれば、多数の負傷者や、住宅の倒壊などの被害が発生したとのことです。

 死者がないことを祈るばかりです。被災者の方々にお見舞い申し上げます。


2014年11月22日土曜日

「お客様は神様です」を多用してきた日本人の大罪

 歌手の故三波春夫氏の「お客様は神様です」の言葉は多くの日本人の心に深く染み込んでいます。残念がなら、この言葉が永く日本のビジネスの足かせとなって来ました。三波春夫氏の真意と異なる意味で流用されてきたことは、日本の悲しい歴史です。

 「お金を支払っているのだから、全ては自分の思いのままだ」という理屈で、客が接遇者を隷従させることが正当化されます。トラブルを嫌う企業幹部は、接客時のクレームを受けると、担当者を謝罪させる、人事考課を引き下げる、クレームを受けないように卑屈で無難な接客方法・態度を押し付けるなどによって、心貧しい接遇が蔓延しています。

 「神様」は常に正しいはずなので、神様である客が求めることは全て正しく、神様(客)の機嫌を少しでも損ねれば、正しくないことをしたという論理ができます。接遇者は客に不満を持たれないことを最優先にせざるを得ません。これでは客の期待を上回る価値を生み出すことは難しくなります。アップル社を育てた故スティーブ・ジョブズ氏のような人材が日本では活かされないのも、ここに根元があるのかもしれません。

 三波春夫氏は、このようなことを意図したのではないようです。長女の三波美夕紀氏も本人の意図とは異なる使われ方に懸念を表しています。(三波春夫オフィシャルサイト:「お客様は神様です」について)

 「お客様は神様」の誤用によって、顧客が「主」、企業が「従」の「主従関係」が出来上がります。しかし、本来のビジネスでのあるべき姿は、企業が「主」、顧客は「客」であるべきです。主である企業は、思いやりや、創意工夫による驚きで顧客を喜ばせることに取り組みます。客は最大の敬意を払って言動を慎み、感謝の気持ちを表します。

 このように日本社会は「主客逆転」が永らく続きました。人々の相互尊敬が高まり、企業が主体性と誇りを取り戻し、社会のイノベーションが活発化することを期待します。 



2014年11月21日金曜日

権限/責任の不均衡(2) 誤審:リスクマネジメント

 権限と責任とが不均衡であるために不都合な状況が生ずることの一つに、スポーツでの誤審があります。過ちを含めて人間が審判をやるから、スポーツの醍醐味があるという向きもあります。しかし、選手たちは全精力を傾け、ときには人生をかけて競技に臨みます。そこでの誤審は、選手の努力や人生を軽んずる結果を導くこともあります。したがって、誤審を「人間のやることだから」と軽く考えることは不適切です。

 「審判は絶対」というフレーズにも共感できないわけではありません。審判の判定が簡単に揺らぐようでは、競技そのものが不安定になってしまします。過ちがあった場合にどいういうタイミングで正すかということは負けず劣らず重要事項です。

 ビデオ判定など可能な限り正確な判定を目指すべきです。ビデオ判定に消極的な種目では、「試合の流れを途切れさせない」という大義名分を掲げつつ、実のところはミスをした審判を庇おうとする意図を感じます。この意図がかえって審判を無責任へと追いやり、深刻な誤審を招いているかもしれません。

 競技中に審判の判定を覆さないのであれば、事後検証をしやすい仕組みを作り、過ちであったことが事後に判明した場合には責任を取らせることによって、審判の正確性向上が期待できます。また、審判の主観や裁量の余地が大きい種目では、競技当事者が評価点数をつける方法も効果があると考えられます。


権限/責任の不均衡(1) 冤罪の構造:リスクマネジメント

 多くの専門的職業では、ミスをすると法的責任を追及されます。職業を永久に失うことも少なくないので、重い法的責任を負うことがないように、必死にミスをしないように努力します。しかし、ミスによる加害に比べて、法的責任が軽い職業もあります。

 例えば、無実の人が犯罪の容疑をかけられた場合、本人が無実を証明することは簡単ではありません。一方、警察官は誤認逮捕をしても、法的責任を負うケースはほとんどありません。検察官や裁判官が冤罪で有罪判決を下すことも同様です。警察官が意図的に証拠を捏造して犯人をでっち上げ、裁判でも有罪判決が下され、のちに冤罪であったことが判明したという事例が、過去にこの日本でもありました。

 司法は国民の権利を公然と奪うことができる究極の権力です。司法権力を持つ者が過ちを犯した場合に、法的責任をしっかり負う制度設計をすることによって、冤罪のリスクも減らすことができるかもしれません。


2014年11月20日木曜日

選挙の勝者は誰?:リスクマネジメント

 衆議院の解散総選挙がいよいよ始まります。安倍首相は衆議院定数の過半数を獲得することを勝敗ラインと公言しています。

 選挙では、どの政党が票と議席を取るかに注目が集まります。しかし、主権者は日本国民であるのだから、真の選挙の勝者とは国民であるはずです。民主主義制度がそれなりに定着している日本ですら、国民の「民意」はいわゆる「政争の具」に使われます。まして民主主義が定着していない国々では、権力の争奪戦の様相が色濃い選挙となり、その結果は国民の利益とは縁遠いものになっていくという逆説的な状況にあるのではないかと考えてしまいます。

 リスクマネジメントの観点から、影響を受ける当事者と権力とが離れていくことによって不適切な意思決定や行動がとられる可能性が高まります。社会の様々な問題も、権限と責任との不均衡によって生じていることが少なくありません。


2014年11月19日水曜日

衆院解散を安倍首相表明:戦略戦術

 本日安倍内閣総理大臣が記者会見で、今月21日に衆議院を解散することを表明しました。消費税率の10%への引き上げを18ヶ月延期することの是非を問うものとのことです。

 増税の延期は、国民負担の回避であるので国民にとって反対する理由は乏しく、解散総選挙の争点とならないことは明らかです。もし増税の延期を否定する選挙結果となれば、当初の予定どおりに増税できることになります。このまま野党が新しい効果的な争点を示して結集できなければ、安倍首相と財務省は戦う前から勝利を見込めるという、孫子の兵法のお手本のような戦術だといえます。


2014年11月18日火曜日

GDP想定以上の落込み:リスクマネジメント

 本日日本政府が発表した今年7月〜9月期のGDPは、市場予想を大きく下回り年率換算マイナス1.6%となりました。

 多くの人々の予想よりかなり低かったという声が多いようですから、消費や投資を手控えているという感覚がない状況下で経済縮小となったことになります。これが物価上昇と同時に生じていることが深刻であり、対症療法的な金融緩和ではなく、大局的なリスクマネジメントの観点からの戦略的な構造変化が必要です。



2014年11月17日月曜日

錦織圭選手ツアーファイナル準決勝で惜敗

 男子テニス・ツアーファイナルのリーグ戦を勝ち抜いて準決勝に進んだ錦織圭選手が、ジョコビッチ選手に1対2のセットカウントで惜敗しました。世界頂点の間近に迫りつつある姿に、多くの日本人が力をもらったことでしょう。

 今大会で錦織選手が述べた「勝てない相手はもういない」という強気な発言も注目されました。欧米流の強気の大言をしたと捉える人もいるようですが、私は「強い相手だから負けても仕方がない」という言い訳を自分に禁ずる意味に聞きました。錦織選手のますますの活躍を期待せずにはいられません。



2014年11月16日日曜日

ホステス経験でアナウンサー内定取消し裁判:コンプライアンス

 テレビ局が新卒社員の採用内定をホステスのアルバイト歴を理由に取り消したことについて、裁判が始まりました。
 
 人権の擁護者・具現者を標榜するテレビ局などのマスコミは、特定秘密保護法の議論では「報道の自由」の権限を主張して適用対象からの除外を勝ち取りました。その一方で、違法や脱法行為に関わったわけでもないのに学生時代のアルバイト歴まで申告を義務付けて採用の判断に使うことは、人権を脅かす問題とも考えられます。

 ホステスは「おもてなし」の最高レベルのスキルを求められる職業であると私は思っています。その職歴がテレビ局アナウンサーとしての仕事に支障があると言う人は、低俗な目でホステスを見ているのかもしれません。


日本国憲法 第十四条第一項  すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。


2014年11月15日土曜日

『「モノづくり」から「モノがたり」へ』の懸念:経営戦略

 ある学会で、「モノづくり」から「モノがたり」への移行を期待する意見が賛同を得ていました。製造するモノにこだわりすぎるのは自己満足的で、価値あるものとして宣伝してこそ価値を生むのであり、それが経営の重要な役割であるという考え方です。

 いつしか「モノがたり」の「モノ」が取れて、「かたり(騙り)」に行き着く怖さを感じるのは私だけでしょうか。



2014年11月14日金曜日

錦織圭選手が準決勝進出

 男子テニスの錦織圭選手が、ツアーファイナルの檜舞台で準決勝に進みました。世界トップクラスの常連として安定した結果を出し続けていることは、まさに驚異ですね。

 もう一つ素晴らしいのは、錦織選手の言動に日本人としての節度を感じさせるところです。欧米流に媚びて、自分を大きく見せようとしないことを馬鹿したり見下したりする人もあります。錦織選手の活躍と品性が世界の人々に新鮮な感覚を与え、かつて日本人の多くが持っていた優れた価値観が広がることを期待します。


2014年11月13日木曜日

彗星探査機が着陸成功

 欧州宇宙機関(ESA)の彗星探査機ロゼッタから切り離された着陸機フィラエが11月12日、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の表面に着陸しました。

 2005年に小惑星イトカワに接触して2010年に地球に帰還した探査機「はやぶさ」に日本中が湧きましたが、今回それよりも良い状態での探査が成功することを期待しています。



2014年11月12日水曜日

韓国船セウォル号船長に殺人罪適用せず

 韓国船セウォル号の沈没事故で、抜け駆けして救助された船長に、裁判所は殺人罪は適用せず、遺棄致死罪等により懲役36年の有罪判決を下しました。

 私は当初より殺人罪が適用されるべきであると考えていましたが、同時に、検察側の立証は簡単ではないと見ていました。

 裁判はすべての問題を完璧に解決してくれると考えていると、期待に及ばない判決にはがっかりすることになります。しかし、そもそも裁判だけにすべてを期待していなければ、裁判にも役割の限界があるとして理解することもできます。



2014年11月11日火曜日

下請への値下げ要求見送り

 トヨタ自動車が下請の部品メーカーへの値下げ要求を見送ったとのことです。

 円安で原材料仕入れ価格が大きく上昇していることを考えると、「値下げ」要求見送りがニュースとなること自体が驚きですね。


2014年11月10日月曜日

配偶者控除の見直し検討

 政府税制調査会は配偶者控除の見直しを検討しています。

 高まる年金受給者の割合に比して、税収・年金を支える働く人の割合が低下し続けていくことが、日本の財政の課題です。

 人口をすぐに増やすことはできませんが、働き手(労働力人口)を増やすことはできます。それは現在フルに働いていない人材の活用です。

 あまり働かないほうが得をする仕組みを構造的に変えることが、日本の喫緊の課題です。配偶者控除の見直しが、その第一歩になることを期待しています。

リンク
  第12回 税制調査会 資料一覧



2014年11月9日日曜日

Googleの障害は復旧したようです(お知らせ)

 昨日から続いていたGoogleのBloggerのアクセス障害は、ようやく復旧したようです。日本から当サイトへのアクセスも、11月9日18:30現在は復活しています。

Googleで障害が発生中です:リスクマネジメント

 当サイトはGoogleのBloggerを利用していますが、昨日あたりからGoogle側で障害が発生しており、当サイトも日本から閲覧できない状況が続いているようです。

 ネット業界のリーディング企業であるGoogleはこのような障害を起こす可能性は比較的低いと考えていただけに残念です。ただし、障害発生リスクを完全ゼロにすることを唱えるよりも、兆候や小さなトラブルに敏感に・いち早く・大胆に・きっちり対応して、影響を拡大・長期化させない「初期対応」こそが決め手です。今回の障害が長時間続いていることは、Google社のマネジメント体制に深刻な問題があることを示しています。

 なお、当サイトも閲覧環境によって閲覧できているようです。また、下記リンクアドレスからは見られるようですので、よろしければお試しください。(このお知らせが閲覧できなければ詮無いことは承知しておりますが、念のためお知らせいたします)

「初期対応の心得」(横井祐一)
   http://shoki-taiou.blogspot.com/ncr 


Google社の説明(Apps ステータスダッシュボード)
2014/11/08 21:17
Blogger サービスは、一部のユーザーに対しては既に復旧していますが、12 時間以内にすべてのユーザーに対して解決する見込みです。ただし、これは予定時期であり、変更される可能性があります。

2014/11/08 18:02

Blogger の問題は調査中です。間もなく詳細情報をお知らせします。
「現在日本から blogspot にアクセスできないとの報告があります。問題について調査中です。」
回避策の解説(英語)があります。英語のページ にアクセスしてご覧ください。




原油安がインフレ目標2%の足かせ?:リスクマネジメント

 日銀黒田総裁の金融緩和サプライズ発表から約1週間が経ちました。この金融緩和策の背景として、原油価格の下落を指摘している新聞報道がありました。

 日銀が示していたインフレ目標の2%に対して、原油安が物価を押し下げて、2%の目標値に達しないことを懸念して追加金融緩和に踏み切ったという見方です。

 インフレは原因によって幾つかに分類されます。経済成長で目指すべきは、消費意欲が高まった時に生じる「デマンド・プル・インフレーション」で、企業の利益を膨らませます。これに対して、原油や食料などの輸入価格の上昇によって生ずる「コスト・プッシュ・インフレーション」は、消費意欲を減退させるとともに企業の利益も圧迫し、経済を減退させます。

 目標数値が一人歩きし、暴走することは危険です。なんのための目標設定だったのかをあらためてよく理解する必要があります。



2014年11月8日土曜日

川内原発再稼働に県議会と県知事が同意:リスクマネジメント

 鹿児島県の九州電力川内原子力発電所の再稼働について、先日の地元自治体の同意に加えて11月7日に鹿児島県議会と鹿児島県知事が同意しました。

 原子力発電所の再稼働については賛否両論があろうと思いますが、日本のエネルギー戦略は新たな段階に進んだといえるでしょう。まず応急処置を完了してから、本格的に戦略の見直しを検討するというステップが重要です。

 危機対応(危機管理)で必要なのは、まず事態をありのままに正面から受け止めて停止・応急処置・復旧に全力を尽くすことです。その後には構造的な変革を視野に入れて抜本的な戦略の再検討をすべきです。

 応急処置と方針転換とを同時並行で行おうとしてどちらも中途半端となり、混迷が始まるケースが少なくありません。昨今の脱原発賛否の議論は、この混迷そのものと言えます。



2014年11月7日金曜日

日本最大級の企業交流展示会「メッセナゴヤ2014」:イノベーション

  11月5日(水)より8日(土)までの4日間、名古屋港金城埠頭のポートメッセにて、企業交流展示会「メッセナゴヤ2014」が開催されています。私は初日に行きました。昨年は800余社の出展で「日本最大級」と謳われていましたが、今年は出展企業数がさらに大幅に増えて、なんと約1300社となりました。

 企業展示会というと、出展料金は数十万円というのが相場ですが、このメッセナゴヤは十数万円程度とのことです。これには理由があって、2005年に開催された愛知万博の収益金の基金を、産業発展のために有効活用しているのです。出展料金が低廉であるため、一般的な企業展示会には出展が難しい中小企業も、このメッセナゴヤには出展しやすいのです。

 トヨタ自動車を始めとする日本を代表する大企業が顔を揃える一方で、老舗の中小企業やベンチャー企業まで、多種多様な企業・団体のブースが、広大な会場でずらりと並ぶ会場は圧巻です。あまり出会う機会のないビジネスの種や新技術に触れられ、それを熱心にアピールしている人々を見ていて、日本の活力が世界に大いに貢献して行けそうなワクワクを感じました。

リンク
  日本最大級の異業種交流展示会 | メッセナゴヤ2014



2014年11月6日木曜日

円安メリットの行方に注目

 2011年から2012年あたりは1ドル80円前後だった外国為替相場が、アベノミクスの効果で、この11月5日には1ドル114円台まで円安が進みました。

 経済戦略としての自国通貨安は、輸出数量を増やすことにより輸出産業に広がる裾野の企業の売り上げ増加の効果をもたらします。為替レートに応じて現地販売価格を引き下げることによって価格競争力が相対的に強まり、販売数量が増加するという流れです。

 もし、円安時に現地販売価格を引き下げなかったとすると販売数量に影響はなく、直接の輸出企業の利益だけを上積みさせます。つまり、円安のメリットが大手輸出企業の独り占めとなってしまいます。実際に、販売数量はあまり増えずに利益が拡大した大手企業があります。これでは、円安が単なる大手輸出企業への補助金と同じになってしまいます。

 これに対して下請けなど部品・原材料供給企業は、販売数量の増加という円安の恩恵を受けられず、かえって輸入原材料などの仕入れコストが上昇し収益を圧迫します。また、エネルギー資源や食料の大半を輸入している日本のポジションを考慮すると、円安によるコスト増は全国民の負担となります。

 したがって、政府がいま行うべきことは輸出企業の現地販売価格の監視です。



2014年11月5日水曜日

日銀のサプライズ金融緩和:リスクマネジメント

 10月31日に日銀が決定・発表した金融緩和は、世界の金融市場に驚きを与えました。円安が一段と進み、株価も上昇しました。

 安倍政権誕生から続くアベノミクスに連動した金融緩和は、これまでのところは良い面が(メリット)が先行していますが、原油相場の下落に助けられている側面があります。いよいよリスクを真剣に考えていく必要性が高まっています。

リンク
  『「量的・質的金融緩和」の拡大』(日本銀行 政策委員会・金融政策決定会合)

2014年11月4日火曜日

「予知」活動の弊害(御嶽山火山噴火・東日本大震災の事例):リスクマネジメント

 地震や火山噴火は予知できないという意見があります。

 先日9月27日の御嶽山の噴火では、噴火の前に火山性地震が増えていました。

 また、2011年3月11日の東日本大震災では、2日前の3月9日に三陸沖でM7.3の地震が起きていました。

 これらが、それぞれの前兆現象だったと見ることもできますが、警戒には結びつきませんでした。

 もっと研究が進んでいれば、予知できたのではないかと考えことができるかもしれません。また、無理と言われるとこに果敢に挑戦した科学者たちによって文明が発展してきたこともまた事実です。予知できなかったのは観測体制が不十分であったからであるとか、もっと研究を進めて予知技術を高めるべきだという意見もあるでしょう。

 しかし、私はこのような意見に与することを躊躇います。純粋に挑戦的研究としてなら期待もできなくはありません。しかし、本当に予知できるかもしれないとして、現実の警戒や避難などの判断に使えるという期待を抱かせることは、かえって危険を生み出します。

 予知が未完成であると、予知による恩恵よりも、根拠のない安心や無警戒の危険が勝ります。警告がなければ安全だと勘違してしまい、被害を拡大していまします。実際に、東日本大震災の前には、2日前(3月9日)の地震は、予想されていた宮城県沖の大地震との関係について警戒を発しませんでした。御嶽山の噴火についても、火山性地震が増えていたのに警戒レベルは最低のままでした。

 ある兆候に対して、警戒側に大げさに対策を打って結果として何も起こらなかったというのは問題が少ないのですが、警戒を緩める方向での誘導は罪が大きい。つまり、予知技術が完成していないのなら、人々に決して期待を抱かせてはいけません。

 予知を手がけるなら、なんらかの異常や兆候があればわずかな確率であっても、発生の危険があることを躊躇せず告知すべきです。確かに、危険が小さいにもかかわらず警戒を発するのは、社会的・経済的な影響が大きいので躊躇われるものです。しかし、怯まずに警戒を発する覚悟がないなら、予知の取り組みは諦めるべきかもしれません。「予知」が「現代の錬金術」にならないことを祈ります。

リンク





2014年11月3日月曜日

「弱者保護」と「弱者救済」:リスクマネジメント

 交通事故で歩行者は弱者に位置付けられ、自動車運転者に比して強く保護されています。自動車損害賠償保障法第3条は、自動車運転者に重い立証責任を課しています。自動車運転者の無過失を立証することは極めて困難です。実務でも自動車対歩行者の事故では、自動車側の過失が多めに評価されます。

 「弱者保護」は慈悲深い社会の一つの到達点であるといえるでしょう。弱者保護を国家対国民の間で用いるのはよいのですが、これを私人間に当てはめると問題が生じます。弱者保護の裏返しとして、相手側に過剰な責任を負わせることになる場合は注意が必要です。

 日本国憲法第29条は、私有財産に不利益になるような国家作用を及ぼすとき、不利益分を補償すべきことを定めています。

日本国憲法 第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
2  財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3  私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

 歩行者が事故相手の自動車運転者に損害賠償請求する場合、裁判所が運転者の責任を加重することは、この憲法の定めに抵触する可能性があります。それにもかかわらず、自動車保険の実務では、自動車側の過失を重く見る基準が用いられています。

 経済的な諸問題では、「弱者保護」ではなく「弱者救済」が必要です。自動車の人身事故では、自賠責保険によって歩行者はいわゆる「過失割合」以上の補償が受けられる「弱者救済」が制度がされています。この自賠責保険は国のバックアップがあるため、相手側自動車運転者に負担を加重することにはなりません。しかし、自賠責保険は限度額があり、怪我の場合は120万円が上限であり、これを超えると当事者の負担が生じます。

 行政が行うべき「弱者救済」を、「弱者保護」と混同して私人間に当てはめるという誤りがあれば、これを正していく取り組みが必要です。


2014年11月2日日曜日

グーグルグラスが全米の映画館で着用不可に:リスクマネジメント・経営戦略

 グーグルグラスなどの録画可能なウェアラブルデバイスを映画館で着用することを禁止すると、米国の映画館所有者団体がアナウンスしました。

 上映中の映画を観客が無断撮影することは違法であるとしても、撮影していないならば着用していても違法ではないと考えることもできます。しかし、言い逃れて違法行為を行う不届き者が続出するなら、直接の違法行為よりも範囲を拡張して規制することも、望ましくはないがやむを得ません。いきなり摘発するのではなく、映画館の入場の際に機器を外すことを求めるということであれば適切な対応であると評価できます。

 お互いに自己の都合だけを主張して奪い合う社会は、規制の拡張というコストを抱え込むことになります。これによりイノベーションが真価を発揮できず萎んでいくのは文明社会の足枷です。

リンク
  NATO(National Association of Theatre Owners)



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