前回は、例外なき自由貿易は食料や天然資源の安定供給を脅かすため、他の分野での貿易障壁を容認せざるを得ないという自己矛盾があることを指摘しました。本質的にこの課題を解決するために、具体的な手立てはあるのでしょうか。
輸出国側に、輸出で利益を得る代わりに責任を負わせることが適切です。つまり、食料や天然資源という生存に不可欠な物資の貿易では、貿易制限を撤廃する代わりに、輸入国に輸入の既得権益を付与することを提唱します。輸出国はたとえ生産が低下しても、輸入国への優先的な供給維持を無条件の義務とします。
もし輸出国の供給量の不足や制限または著しい条件の変更は、軍事的な侵攻と同義の経済的侵略行為と見なすという国際ルールを作るのがよいでしょう。
輸出国がそのリスクと責任を負いたくないのであれば、輸出を行わなければよいのです。輸出は利益を貪るだけでなく、それだけの覚悟が望まれます。利益と責任の均衡によって、さらなる自由貿易の発展と、相互信頼が確立されることを期待します。
2016年11月28日月曜日
2016年11月27日日曜日
自由貿易がはらむ矛盾
TPPを推し進める日本は、国内農業保護のため自動車などの工業分野でいくつかの貿易制限の要求を飲みました。自由貿易を目指す以上、例外なき貿易制限の撤廃を目指すべきでしょうか。
食料生産力や天然資源に乏しい日本にとっては、これらの輸入は国の安全保障につながるものです。自由貿易でこれらの供給を他国に依存する度合いが高まれば、何らかの事情で輸入が阻害された場合には危機的状況に陥りかねません。クリミア問題でロシアがウクライナへの天然ガスの供給を停止したことは記憶に新しいものです。また、天然資源の日本への輸出停止がかつての太平洋戦争の動機の一つになったとも考えられ、日本政府は大きな懸念を持っているはずです。
したがって、農業分野を含めた完全自由貿易化を無条件に受け入れることは国家の存立を脅かすことを懸念し、その代償として一部の工業製品に対する関税の当面の存続を認めて妥協しなければならなくなったのでしょう。これはバランスを保った協調のように見えるかもしれません。しかし、自由貿易に孕む本質的な課題を明確に整理できていないために生じた歪みであると言えます。
2016年11月26日土曜日
トランプ氏のTPP離脱宣言を日本のチャンスにできるか
米国次期大統領のトランプ氏が、大統領就任の初日にTPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱することを明言しています。
これに対し日本政府がTPPの国会承認を進めていることは、一見無駄なことをしているように映るようにも思えます。しかし、さらに先を見越した捨て駒の一手ということであれば価値が出てくるかもしれません。
米国が離脱するかしないかは他国が決めることではありません。経済規模の大きい米国が抜けたら意義がなくなるというものでもありません。
TPP参加国が価値観を共有して相互貢献し、新たに大きな経済圏を生み出すことがの本来の狙いのはずです。米国離脱後のルールの全面的な練り直しを直ちに始めることが、今やるべきことでしょう。
これに対し日本政府がTPPの国会承認を進めていることは、一見無駄なことをしているように映るようにも思えます。しかし、さらに先を見越した捨て駒の一手ということであれば価値が出てくるかもしれません。
米国が離脱するかしないかは他国が決めることではありません。経済規模の大きい米国が抜けたら意義がなくなるというものでもありません。
TPP参加国が価値観を共有して相互貢献し、新たに大きな経済圏を生み出すことがの本来の狙いのはずです。米国離脱後のルールの全面的な練り直しを直ちに始めることが、今やるべきことでしょう。
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