2008年3月1日土曜日

イージス艦「あたご」衝突時刻の疑問

 いざという時の危機管理としてだけでなく、平常時の意思決定や実践行動の土壌となる初期対応の習慣を体得いただく観点から、リスクマネジメントや危機管理に限られず、リーダーシップ、労務管理、マーケティング等に幅広く応用できる初期対応について、最新の事例をもとに学んでいきます。

 イージス艦「あたご」 は、2月19日の漁船「清徳丸」との衝突1分前に、自動操舵から手動へ切り替え、後進措置をとったと発表されているが、ここに、この衝突時刻に疑念を持つ。衝突時刻の改ざんが行われることがあり得ると考えている。私自身も、かつて、捜査当局が当事者として、関わりが疑われる事案で、発生時刻の改ざんに協力するよう、当局から助力を求められた経験があるからだ。もちろん、そのような偽りは、よく考えればわかることであると、お断り申し上げたのであるが、結局、真相は隠され、もう一方の当事者が知ることはなかった。

 海底に沈んだとみられる衝突の漁船の操舵室部分は、現在までに発見されていない。これは、衝突位置の認識に誤謬があることに原因がある可能性が捨てきれない。

 防衛大臣は、「衝突した時刻が4時7分ということは、公然の事実である」と2月29日の国会で答弁している。しかし、これが何の根拠にもとづいているか、よく検証する必要がある。 この衝突時刻「4時7分」は、あたご乗組員の証言に頼っている可能がある。秒単位ではなく、全てが分単位であることが、さらに疑念を深める。1分2分が問題となっているのなら、普通ならば秒単位で議論をするのが自然である。ところが、奇妙なことに、現在まで、秒単位で語られることが全くない。

 陸上交通と異なり、衝突地点の痕跡が残りにくい海上の特性を認識して、事実関係の把握に努めることが望まれる。最近普及し始めた自動車のドライブレコーダーのように、衝突時の衝突Gの記録があるのなら最も明確であるが、大型の軍艦と小さな漁船との衝突であるのなら、このような記録は残っていないかもしれない。 記録システムも備わっていないかもしれない。

 もし、その場合、衝突まで回避措置を全くとっていなかったと仮定すると、全ての事象がつながってくる。この場合、決定的に漫然と航行していたと認定される懸念が生ずる。少しでも回避措置をとったことを主張するため、衝突時刻を1分繰り下げ、手動操舵に切り替え、後進操作を行ったことを、衝突前に行ったことに脚色するというストーリーも想像できる。

 したがって、漁船の操舵室部分の捜索を行うにあたって、衝突したとされる地点よりも手前にも、海底調査の範囲を若干広げることも必要となってくるのではないかと思っている。一日も早い漁師親子の発見と、事実関係の解明がはかられることを、切に望む。

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