今回は、いったん、危機管理やリスクマネジメントといった個別のテーマから離れ、組織のマネジメントについての課題を見ていきます。
一般的には、ISO9001(品質マネジメント)やISO14001(環境マネジメント)などのマネジメントシステムでも有名な、Plan(計画) - Do(実施) - Check(検証) - Act(改善)のいわゆるPDCAのメソッドが、ほぼデファクトスタンダードとなっています。
このPDCAのメソッドは、どのような組織にも汎用的に適用が可能で、取り扱う対象をたとえば「品質」から「環境」に置き換えればそのまま使えてしまうという、いたって便利なマネジメントメソッドです。
一方で、PDCAによるマネジメントシステムは、業務プロセスの文書化や記録の保存など、現場の負担が著しく増大し、また仕事のマニュアル化によって応用力の低下を招きやすいといった課題も多く、事務局は熱心だけれども組織に所属する個人個人はそのマネジメントシステムにあまり好意的な印象を持っていないというケースも散見されます。
一つの対策として、ISO14001の2004年の改定では文書化を要求する項目が大幅に削減されることとなりました。しかし、実際の運用に際しては結局は文書化をしなければならないことが多いのが現実です。
マネジメントシステムの専門家の中には、この課題のような弊害が起こるのはPDCAの本来の仕組みを十分に浸透させていない結果によるもので、このPDCAのマネジメントシステムそのものの課題ではないとする向きもあります。
たしかに、多くのケースではこういった見解も的確であろうと思います。しかし、PDCAメソッドが内含する性質そのものに由来して、仕事の硬直化や組織の活力低下といった弊害に結びついている面も見逃すことはできません。
PDCAによるマネジメントシステムは、業務の改善にはかなり寄与することが期待できますが、製品・サービスの付加価値向上や組織の成長にまでその効果を波及させるためにはさらに多くの工夫が求められます。
次回は、もう一つのマネジメントメソッドとしての「初期対応」の秘めたる力について記す予定です。
2007年2月28日水曜日
2007年2月27日火曜日
初期対応の心得 第3回 初期対応のススメ 3
「初期対応」という日本語は、最近ではかなり一般的になってきました。 私としては、少し感慨を覚えます。今日は、私と「初期対応」という言葉との関わりの足どりについて記してみます。
「初期対応」は、皆さんもご承知のとおり、決して新しい日本語ではありません。しかし、リスクマネジメントや危機管理をはじめ経営に関するキーワードとして注目されるようになったのは、極々最近のことのように思います。
先回にも記載しましたように、私がおりました鉄道会社では、私が担当となる20年近く前から伝統的に「初期対応」という言葉を使用していました。私が本社で事故の担当をしていた10年ほど前には、管理者教育やマニュアルを用いて浸透させることに注力し、事故やトラブルが発生し、現場から私へ「どうしたらいいでしょうか」と相談を受けたときは、私がひと言「初期対応」といえばすぐに皆が行動を起こせるまでになっていました。
その後、同業の鉄道他社にもこの初期対応を紹介したところ、私がまとめた「初期対応の心得・ダイジェスト版」というタイトルをつけた小冊子を、担当者のマニュアルとして、また社員教育のテキストとして多くの会社で利用されるようになり、今では首都圏の電鉄業界でデファクトスタンダードのようになっています。
また、これを契約先の損害保険会社へも紹介したところ、しばらくして、保険業界でも、自動車保険関係の資料で当たり前のように初期対応という言葉が使われるようになりました。私が「初期対応の心得」の小冊子をお渡ししたその損害保険会社のグループのリスクマネジメントのコンサルティング会社が出したリスクマネジメントの解説書には、初期対応の項目が設けられており、私の「初期対応の心得」と似た記載がありました。
ところで、10年ほど前に危機管理、特に広報対応の分野で、田中正博氏(当時・電通PRセンター)が「初期対応」という言葉を使われていたことは特筆に値します。
一般的には、有力食品メーカーの集団食中毒事件で、記者会見で開き直った経営トップの映像が全国に流れ、その頃からマスコミ関係においても「初期対応」という言葉が使われるようになったように思います。
「初期対応」は、皆さんもご承知のとおり、決して新しい日本語ではありません。しかし、リスクマネジメントや危機管理をはじめ経営に関するキーワードとして注目されるようになったのは、極々最近のことのように思います。
先回にも記載しましたように、私がおりました鉄道会社では、私が担当となる20年近く前から伝統的に「初期対応」という言葉を使用していました。私が本社で事故の担当をしていた10年ほど前には、管理者教育やマニュアルを用いて浸透させることに注力し、事故やトラブルが発生し、現場から私へ「どうしたらいいでしょうか」と相談を受けたときは、私がひと言「初期対応」といえばすぐに皆が行動を起こせるまでになっていました。
その後、同業の鉄道他社にもこの初期対応を紹介したところ、私がまとめた「初期対応の心得・ダイジェスト版」というタイトルをつけた小冊子を、担当者のマニュアルとして、また社員教育のテキストとして多くの会社で利用されるようになり、今では首都圏の電鉄業界でデファクトスタンダードのようになっています。
また、これを契約先の損害保険会社へも紹介したところ、しばらくして、保険業界でも、自動車保険関係の資料で当たり前のように初期対応という言葉が使われるようになりました。私が「初期対応の心得」の小冊子をお渡ししたその損害保険会社のグループのリスクマネジメントのコンサルティング会社が出したリスクマネジメントの解説書には、初期対応の項目が設けられており、私の「初期対応の心得」と似た記載がありました。
ところで、10年ほど前に危機管理、特に広報対応の分野で、田中正博氏(当時・電通PRセンター)が「初期対応」という言葉を使われていたことは特筆に値します。
一般的には、有力食品メーカーの集団食中毒事件で、記者会見で開き直った経営トップの映像が全国に流れ、その頃からマスコミ関係においても「初期対応」という言葉が使われるようになったように思います。
2007年2月26日月曜日
初期対応の心得 第2回 初期対応のススメ 2
これから、このブログで、「初期対応」について書き綴っていくにあたって、まず、「初期対応」という言葉について考えてみることにします。
わたしは、「初期対応」という言葉が誤解されることをいつも懸念しています。というのは、「初期」という言葉から、何かトラブルが発生したときに「最初だけ何かやれば、それで初期対応は終わりだ」と勘違いされることがあるからです。
私は、初期対応はもっとも最初に手がけるものではあるが、その後も決して手を緩めることなく、トラブルの終局まで取り組むことに広げるとともに、トラブルが発生していない日常でも、初期対応に必要な「構え」をしておくことによって組織の変革が実現していくことを目の当たりにしてきました。
また、「初期対応」がマスコミ対策と同義であるかのような論調も見受けられます。しかし、私が使う「初期対応」では、マスコミ対応は核心ではなく付随的なものであると考えています。 決してマスコミ対策が必要ないという意味ではありません。私も、マスコミ対応について実際に役割を果たしてきました。しかし、マスコミ対応に目が行き過ぎて、初期対応で本質的に大切なことを見落としてしまっている事例があまりに多く目に付くのです。
こうしたことから、私はこの10年間ほど、「初期対応」に替わるよい言葉がないかと探し続けていました。しかし、そうこうしている間に、企業や公的機関で相次ぐ不祥事によって「初期対応」という言葉があっという間に定着してしまったため、新しい言葉を探すのではなく、私が取り組んできた「初期対応」が組織に浸透するしたがって生じる波及効果について広く知ってもらおうと考えるようになりました。
わたしは、「初期対応」という言葉が誤解されることをいつも懸念しています。というのは、「初期」という言葉から、何かトラブルが発生したときに「最初だけ何かやれば、それで初期対応は終わりだ」と勘違いされることがあるからです。
私は、初期対応はもっとも最初に手がけるものではあるが、その後も決して手を緩めることなく、トラブルの終局まで取り組むことに広げるとともに、トラブルが発生していない日常でも、初期対応に必要な「構え」をしておくことによって組織の変革が実現していくことを目の当たりにしてきました。
また、「初期対応」がマスコミ対策と同義であるかのような論調も見受けられます。しかし、私が使う「初期対応」では、マスコミ対応は核心ではなく付随的なものであると考えています。 決してマスコミ対策が必要ないという意味ではありません。私も、マスコミ対応について実際に役割を果たしてきました。しかし、マスコミ対応に目が行き過ぎて、初期対応で本質的に大切なことを見落としてしまっている事例があまりに多く目に付くのです。
こうしたことから、私はこの10年間ほど、「初期対応」に替わるよい言葉がないかと探し続けていました。しかし、そうこうしている間に、企業や公的機関で相次ぐ不祥事によって「初期対応」という言葉があっという間に定着してしまったため、新しい言葉を探すのではなく、私が取り組んできた「初期対応」が組織に浸透するしたがって生じる波及効果について広く知ってもらおうと考えるようになりました。
初期対応の心得 第1回 初期対応のススメ
ガス機器によるCO中毒事故や、食品衛生管理問題、エレベーター事故など、事件・事故が続発していますが、このところよく耳にするのが「初期対応」という言葉です。この「初期対応」をしくじって、マスコミから集中砲火を浴びてさらに危機を深め、泥沼にはまり込む事例に事欠きません。
ところで、私が担当していたリスク対応の仕事では、現場で直面する事故発生時の対応方の指導において10年以上前の当時から「初期対応」という言葉を用いてきました。先輩諸氏より「初期対応」の言葉を受け継いで、私もその効果を実感し、リスク対応の柱に据えて現業の態勢構築に取り組むようになりました。
「初期対応」とは、危機管理の中でもさらに限定的な応急処置と捉えられるのが一般的でしょう。
しかし、このブログでは、単なる応急処置にとどまらず、組織や平時の仕事に大いに活用することによって得られる驚くべき「初期対応」の真価についてお知りいただくため、書き留めていきたいと考えています。
ところで、私が担当していたリスク対応の仕事では、現場で直面する事故発生時の対応方の指導において10年以上前の当時から「初期対応」という言葉を用いてきました。先輩諸氏より「初期対応」の言葉を受け継いで、私もその効果を実感し、リスク対応の柱に据えて現業の態勢構築に取り組むようになりました。
「初期対応」とは、危機管理の中でもさらに限定的な応急処置と捉えられるのが一般的でしょう。
しかし、このブログでは、単なる応急処置にとどまらず、組織や平時の仕事に大いに活用することによって得られる驚くべき「初期対応」の真価についてお知りいただくため、書き留めていきたいと考えています。
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