今回は、いったん、危機管理やリスクマネジメントといった個別のテーマから離れ、組織のマネジメントについての課題を見ていきます。
一般的には、ISO9001(品質マネジメント)やISO14001(環境マネジメント)などのマネジメントシステムでも有名な、Plan(計画) - Do(実施) - Check(検証) - Act(改善)のいわゆるPDCAのメソッドが、ほぼデファクトスタンダードとなっています。
このPDCAのメソッドは、どのような組織にも汎用的に適用が可能で、取り扱う対象をたとえば「品質」から「環境」に置き換えればそのまま使えてしまうという、いたって便利なマネジメントメソッドです。
一方で、PDCAによるマネジメントシステムは、業務プロセスの文書化や記録の保存など、現場の負担が著しく増大し、また仕事のマニュアル化によって応用力の低下を招きやすいといった課題も多く、事務局は熱心だけれども組織に所属する個人個人はそのマネジメントシステムにあまり好意的な印象を持っていないというケースも散見されます。
一つの対策として、ISO14001の2004年の改定では文書化を要求する項目が大幅に削減されることとなりました。しかし、実際の運用に際しては結局は文書化をしなければならないことが多いのが現実です。
マネジメントシステムの専門家の中には、この課題のような弊害が起こるのはPDCAの本来の仕組みを十分に浸透させていない結果によるもので、このPDCAのマネジメントシステムそのものの課題ではないとする向きもあります。
たしかに、多くのケースではこういった見解も的確であろうと思います。しかし、PDCAメソッドが内含する性質そのものに由来して、仕事の硬直化や組織の活力低下といった弊害に結びついている面も見逃すことはできません。
PDCAによるマネジメントシステムは、業務の改善にはかなり寄与することが期待できますが、製品・サービスの付加価値向上や組織の成長にまでその効果を波及させるためにはさらに多くの工夫が求められます。
次回は、もう一つのマネジメントメソッドとしての「初期対応」の秘めたる力について記す予定です。